厚生労働省もついに本腰!度重なる介護施設の虐待に監査強化を指示!
本日は昨今メディアで数多く取り上げられている、介護保険施設などで頻発している介護従事者が起した虐待、窃盗などの事件に関して、強い危機感を感じた厚生労働省が、都道府県の介護施設監督部署向けに通知した内容を取上げました。
こういった通知は介護業界内の方々は目にする事もありますが、施設を利用する方々やご家族の目には触れずらい物です。 せっかく公に公表された情報なので、より多くの方々の目に触れることで、考える機会の一つになればと思い掲載いたします。
通知番号:老指発1113号1号
通知日 :平成27年11月13日
通知先:都道府県、指定都市、中核都市の介護保険施設など指導監督担当課
「介護保険施設などにおける高齢者虐待などに対する指導・監査などの実施について」
介護保険法における介護保険サービス事業所の指導監督については、高齢者の尊厳を支えるより良いケアを目指し、「介護保険施設等の指導監督について」(平成18年10月23日老発1023001号)により、介護サービス事業所等の質の向上を主眼とする「指導」及び指定基準や不正請求、身体拘束及び虐待等が疑われる場合には「監査」の実施をお願いしているところです。
また、介護サービス事業者の業務管理体制の監督については、「介護サービス事業者に係る事業管理体制の監督について」(平成21年3月30日老発第0330077号)により、介護サービス事業所等における虐待等の不正行為の未然防止のため、事業者の業務管理体制に関する確認検査の実施をお願いしているところです。
しかしながら、今般、養介護施設従事者等による深刻な高齢者虐待事案等が複数の事業所で報告されました。高齢者虐待は、高齢者の尊厳を失わせる重大な問題であり決してあってはならない事です。また、介護保険制度への信頼性に関わる由々しき問題でもあります。
つきましては、今回の介護保険施設等における高齢者虐待等の事案を踏まえ、今後の指導、監査及び業務管理体制の監督について、下記のとおり留意事項を定めましたので、貴管内市町村等にその周知をお願い致します。
- 記 -
1.高齢者虐待防止等に重点を置いた機動的な指導監査の実施について
通知、苦情等からの監査の実施については、都道府県等において、情報の具体性、信憑性、証拠物の有無、通報・苦情者の状況等を踏まえて個別に判断いただいて実施しているところであるが、その内容が利用者の生命、身体に関わる事案である場合は、迅速な決断と積極的な実行が必要であることから、事前に通告を行うことなく監査を実施する等、現場の状況に応じ、柔軟に対応すること。 また、高齢者虐待との関連が疑われる場合などを含め、当該事業所の日常におけるサービスの提供状況を確認する必要がある場合には、上記監査と同様、事前に通知を行うことなく、実地指導を実施することも検討されたい。
2.関連事業所も含めた重点的な指導・監査の実施について
都道府県等におかれては、限られたマンパワーで指導監査を実施して頂いているところであるが、高齢者虐待事案等問題のあった事業所はもとより、当該事業所の関連する事業所がある場合については優先的に指導・監査を行われたい。また、所管管内におてい高齢者虐待事案等が生じた場合には集団指導などにおいてその要因等の情報を共有するなど再発防止に努められたい。
3.自己点検シート等の活用について
高齢者虐待防止を防ぐには、都道府県及び市町村の指導や監査のみならず、事業所自らが行う「自己点検」による確認作業が効果的である。事業所の行う自己点検の実施については、実地指導で活用する自己点検票(チェックシート)を活用する等、事業所の施設管理者等が定期的に虐待防止の観点から是正すべき点がないか自己点検を行うよう指導の徹底を図られたい。
4.業務管理体制の確認検査における事業者の虐待防止の取組みの確認について
高齢者虐待を未然に防止するためには、施設又は事業所を運営している事業者が適切な業務管理体制を構築する事が重要である。
このため、業務管理体制の確認検査では特に
- 虐待防止、認知症ケアなどの研修が効果的に実施されているか。
- 内部通報、苦情相談窓口は機能しているか。
- 職員に対するストレスマネジメント、メンタルヘルスケアは実施されているか。
など、虐待事案を未然に防ぐための取組が行われているか検証し、事業者自らが業務管理体制の改善を図れるように意識づけを行っていただきたい。
今までも水面下では行政の担当者が目を光らせていたとは思いますが、今年発覚した事件の多くは何年も前から、もしかしらた介護保険スタート前から現場では起こっていて、それを黙認していた事業所や従業者は多かったのかもしれません。 私がこの事業スタートを考え始めた3年前は、高齢者施設での事件報道がされる事はまだ少なく、比較的障害者施設での虐待報道が多かった様に記憶しています。
これからも増え続ける高齢者人口と、それを担う専門職の「人員不足」と、質を左右する「人材育成」の遅れはこれからも簡単には埋まらないのかなと、ますます不安は増えるばかりです。