埼玉県熊谷市の特別養護老人ホームで起きた誤飲事故を考える。
数日前のニュースになりますが、介護施設内で発生した服薬ミスによる誤飲事故と、まだ因果関係が調査中ですがその後に亡くなられた件について振返ってみたいと思います。
今回明らかになったのは埼玉県熊谷市にある特別養護老人ホーム「 いずみ熊谷 」で、昨年12月に職員による薬の配り間違いで誤飲し、その後の嘔吐と嘔吐が原因で誤嚥性肺炎になり亡くなられた事故です。なぜ半年経って明るみになったのかは不明ですが、今回は服薬介助について考えてみましょう。
まず介護施設での服薬介助について、施設をご存知ない方ですと病院と同じように看護師が介助しているのでは?と考えられると思います。
実際に施設によっては看護師が対応している所もありますが、私の知る限りですとあまり多くはないようです。では全て介護職が行っているかというとそうでもなく、分業制をとっている所が多いと思います(薬の扱いは医療従事者でないと行えません)
<良くあるケース>
- 薬の準備から服薬介助を全て看護師
- 薬の準備までを看護師、その後各フロアー単位に配布し介護職が服薬介助を行う
ここで何故看護師が行わないのか?と疑問を持たれる方もおられると思いますが、特養などの施設サービスですと看護師の配置人数は圧倒的に少なく下記の人数となります。
<指定配置人数>
- 入所者が30人以下の場合は、常勤換算で1人以上配置
- 入所者が31~50人の場合は、常勤換算で2人以上配置
- 入所者が51~130人の場合は、常勤換算で3人以上配置
- 入所者が131人以上の場合は、常勤換算で4人以上配置
→ 介護職員の配置人数はこちらへ
ちなみにこの人数は出勤人数ではなく、配置人数、いわゆる雇用人数です。 ここから交代勤務で出勤人数を計算するので実際はもっと少ない看護師しか出勤していません、また特養ですと看護師は日中勤務のみの事が多いので、朝食時、夕食時、消灯時は介護職しかいないケースも多々あります。(注!交代勤務で早番、遅番を行っている施設もあります)
これを知っただけでも「少ないな」と思われるかも知れません、ただこれが現実なのです。 ときどき施設の売り文句に「24時間看護師常駐」と宣伝しているのを見ませんか?それはこういった背景があるから、大々的にアピールしているのです。
そうなると朝や夜、消灯前の薬管理は介護職がやることになりますが、介護職なら誰でも普通に出来てしまう簡単な作業の一方で、実は今回の様な危険が潜んでいる事をあまり認識せず行っている職員も少なくありません、だからこそ今回の記事にもありましたが施設の「ルール」作りが重要となるのです。
更に怖いことは、今回の様に公にならない事故が沢山ある事です。でも知る方法はあります、各施設は「事故防止対策委員会」の設置と定期的な開催が義務図けられています、もし今回の事件を聞いて不安になったご家族は、施設へ連絡し「事故防止対策委員会の議事録を見せて下さい」と伝えてみましょう。そこには施設内で発生している事故がまとめられ、また対策や経過など施設のケアレベルや姿勢が見えて来るかも知れません。
今回の内容はお役に立てましたでしょうか? ご家族の知っておいて欲しいこと、これからも機会を見て掲載して行きたいと思います。
今後も介護施設向け内部覆面調査、ケア・アドバイス、施設選びアドバイザーとして人となりを宜しくお願い致します。